認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster)を取得した

いまお手伝いしている会社でスクラム導入を支援していて、自分もスクラムマスター(兼開発者)をやっている。 これまでにスクラムに関する本はいくつか読んできたし実戦経験もあったが、改めてスクラムについて深い理解を得たいと思い認定スクラムマスター研修(以下、CSM研修)に申し込みをした。

研修について

私が受講したCSM研修はMichael Jamesさんという方が講師で(基本は英語だが日本人のAgileコーチの方が通訳してくれる)、3日間というスケジュールで研修が行なわれた。 研修を受けるだけで無条件でCSMに認定されるわけではなく、以下のようなプロセスを踏んで初めて認定となる。

  • CSM研修を3日間受講する
  • CSM研修でオンライン受験資格があることを認められる
  • オンライン試験をパスする

研修はチームで行うワークショップ形式のトレーニングが多く和気藹々と行なわれたが、研修を終えればかならず受験資格がもらえるわけではないようだ。以下のような注意が申し込みページにものっていたし、申込み後のメールでも送られてきた。

  • 全時間受講が義務づけられております。遅刻や早退、途中退室は無条件で認定できません。
  • パソコンや携帯電話の使用等、ルール違反は認定できません
  • 本トレーニングでは、受講中の能力をもとに評価し、オンラインテスト受験資格(=認定候補者)を付与しますので、積極的な能力アピールを必要とします。参加するだけでは認定となりませんのでご注意ください

とはいえ、よっぽど受講の態度が悪かったとか消極的だったとかでなければ、受験資格はもらえるのではなかろうか。ただ過去取得した人の話だと、遅刻して受験資格が与えられなかった人がいたり、レポートを追加で提出することを求められたりということはあったようだ。

学んだこと

スクラムの具体的なやり方については、LeSS (Large-Scale Scrum) など知らないこともあったが、70%くらいは既に知識としては知っていた内容ではあった。この研修で良かったのは、具体的な方法論というよりは、スクラムの考え方、原則などをアジャイルソフトウェア開発宣言なども交えながら、ワークショップ形式で実体験として学べたことだ。講師の方が初日に「皆さんのこれまでの経験をunlearnする魔法があればスクラムマスター研修は1日で終わります」と言っていたが、まさに3日間かけて従来型のマネジメント・プロセスの考え方をunlearnしてもらっていた感じだった。

頭では認識していたものの、実は実践できていなかったなと気付かされたのは以下。

  • ソフトウェア開発は複雑で予想の難しいカオスな領域の仕事であることを認識する
  • ある程度の曖昧さ・不確実さを受け入れる

そして何となく思っていたものが言語化されたのは以下。組織の中の個人が自分の行動をROIで図ることに対して違和感がすごかったのだけど、きれいに言語化された感覚がある。

  • 不確実性の高い分野では生産性より学習を重視する

そしてこれはスクラムの話じゃなくてアジャイルマニフェストの一文ではあるけど、以下。特に最近バックログを必要以上に詳しく書いてもらおうとしたり、新たなプロセスを組もうとしていたのだけど、反省した。ただ対話することが一番の解決の場合も多いのだ。

  • プロセスやツールよりも個人と対話を

スクラムではどんな組織構造になっているべきか、featureチームとcomponentチームを対比して説明・ワークショップがあった。マイクロサービスが流行っているが、どういう開発組織が良いのかということを考える機会になった。マイクロサービスを志向する会社でも、 componentチームになっていて依存関係が爆発していて、開発効率が上がってないという事例はありそうだなと思った。

自分の参加した会がたまたまそうだったのかもしれないが、SIer / コンサル系から来てる人が多く、プロダクト開発ではなくプロジェクトマネジメントを期待して研修に来ている人がとても多かった気がする。そもそも今ウォーターフォールで…とか、開発はベンダーに投げてて…みたいな人が結構多くて、現場でスクラムどうしてるみたいな話が他の参加者とあまり出来なかったのは少し残念だった。 *1

まとめ

この研修は結構お高い*2のだけれど、これからスクラムやっていく人や、スクラム始めたけどピンと来ていない人、マネージャーなど開発組織づくりに関わっている人は、一度受けてみることをオススメします!

*1:ただ、そういう人たちも、最終日になると「組織を変えて行かなきゃ!」みたいな姿勢になっていたのが印象的だった。

*2:自腹で30万はなかなかキツかった